第242章

やめて。

来ないで。

零崎折識の意識は深い泥沼に沈みかけていたが、周囲の状況だけは痛いほど鮮明に伝わってきていた。医師や看護師たちが配置につき、器具と金属がぶつかり合う冷徹な音が響く。

続いて、医師の無機質な声が鼓膜を打つ。

「あの方からの指示だ。この女はその顔で男を誑かしたんだとさ。子宮を摘出した後、顔の方も少し弄る。鼻や肌に、例の開発中の新薬を注入しろ」

「あの薬はまだ開発されたばかりで、臨床試験も済んでいないんですよ? 副作用だって未知数なのに、そんな……」

一人の若い看護師がおずおずと口を挟む。

医師は冷たく言い放った。

「御託はいい。あんな代物、愛人風情にはお似合い...

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