第248章

視線が交錯する。

零崎折識は眉をひそめた。

星野の母は赤ワインのグラスを手に取り、軽く揺らしながら口を開く。

「あれを見てごらんなさい……」

そう遠くない場所で、星野煌の父親が両手に花とばかりに女性を抱き寄せている。このような厳粛な場に、息子と妻だけでなく、二人の愛人まで連れてきているのだ。

その二人の愛人はまだ二十代に見えるが、中年男にぴったりと寄り添い、甲斐甲斐しく飲み物の世話まで焼いている。

あまりにも目に余る光景だった。

「以前は、息子がすべてを手に入れさえすれば、幸せになれると思っていたわ。でも実際はどう? とても幸せそうには見えないわね」

実のところ、星野煌の父親...

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