第54章

星野煌は零崎折識が呆けたように一点を見つめているのに気づき、何度か名を呼んだが反応はなかった。

彼は手を伸ばして零崎折識の腕を軽く小突き、眉をひそめた。

「何を考えている? ずいぶん夢中じゃないか」

零崎折識はハッと我に返り、照れ隠しに笑みを浮かべる。

「別に何も。もう着いたんですか?」

星野煌に心中を悟られたくなくて、彼女は適当な言い訳で誤魔化した。

星野煌はしばらくじっと零崎折識を見つめていたが、やがて顎をしゃくった。

「先に降りて待っていてくれ。ここは駐車禁止なんだ」

そういうことか。零崎折識は唇を引き結び、助手席のドアを開けて車を降りた。

言われた通りにそこで待って...

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