第56章

「何を考えている?」

星野煌の声はひどく気怠げで、いかにも寝起きといった風情だった。

零崎折識は呆れて白目を剥きたい衝動をこらえ、星野煌の腕の中から抜け出した。

首筋に残された赤い痕を指差し、彼女は抗議の声を上げる。

「こんな状態でどうやって出勤しろって言うんですか? 同僚に見られたら、陰で何を言われるか分かったものじゃありません」

語尾に向かうにつれて、零崎折識の声は沈んでいった。

会社で待ち受けている事態が容易に想像できたからだ。

星野煌は一瞬きょとんとし、ようやく事態を飲み込んだ。

昨夜は確かに少々羽目を外しすぎた。まさかこれほど痕が残るとは思っていなかったのだ。

う...

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