第57章

顧客を琥珀椿に任せ、零崎折識は時間を確認した。

藤原弁護士との約束の時間が迫っている。上で待とうかと思案していると、名前を呼ばれた。

零崎折識が振り返ると、意外なことに空崎美月が近づいてきていた。

「折識、ここでお客様を待ってるの?」

空崎美月は笑顔で零崎折識に挨拶してきた。

零崎折識は眉をひそめ、彼女を上から下まで値踏みするように見やった。

「ええ、そうだけど。何か用?」

あまりに直球な物言いに、空崎美月は気まずそうな顔をした。

瞳の奥に恨めしげな光が走ったが、彼女はすぐにそれを隠した。

「前はちょっとした誤解があったけど、水に流してくれるわよね。最近、予約が多いみたいだ...

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