第8章

零崎折識が席に着いて間もなく、伊藤諭介がやってきた。

「座りたまえ」

オフィスに入ってから、伊藤諭介の視線は零崎折識の体から離れようとしなかった。

ねっとりとした好色な視線に零崎折識は不快感を覚え、体を動かして視線を遮ろうとした。

「伊藤部長、私に何かご用でしょうか?」

零崎折識から口を開き、沈黙を破った。

伊藤諭介は我に返り、咳払いをして気まずさを誤魔化した。

「プロジェクトの件は聞いているよ。今回は災難だったね。だが知っての通り、水鏡美琴の立場は特別なんだ。彼女と真っ向からぶつかるのは得策じゃない。君にはまたもっといい機会があるはずだ」

伊藤諭介はもっともらしいことを言い...

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