第104章 セクハラ

東野月は、学校では極力目立たないように過ごしているつもりだった。だが、学園一の美少女ともなれば、そうはいかない。どこへ行こうとも全校生徒の注目の的となってしまうのだ。今日もそうだ。ただダンスの練習をしにレッスン室へ来ただけだというのに、外には彼女の姿を一目見ようとする野次馬で溢れかえっていた。

予想外だったのは、単にその美貌を拝みに来ただけの野次馬たちが、とんでもないサプライズを目撃したことだ。あろうことか、学園一の美少女が自分から男子生徒にキスをねだったのだ。この狂気じみた行動に現場は騒然となり、外からは冷やかしや落胆の声、そして拍手が鳴り止まない。

高藤風は、陰鬱な表情でその光景を睨...

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