第115章 情熱(2)

「彼は……」

綾瀬玲奈の母、鈴木雲は眉をひそめ、俺を指さして尋ねた。父である綾瀬石賢もまた、表情を変えずに俺——葉山天を見つめ、娘の回答を待っている。綾瀬玲奈が男を家に連れてくることなどめったになかったため、両親は驚きとともに、俺がいったい何者なのかと値踏みしているようだ。

綾瀬玲奈が紹介する。

「お父さん、お母さん。こちらは葉山天さん、私の友人よ。Y市で知り合ったの。向こうでは右も左もわからなかった私を、彼がずっと助けてくれたの」

綾瀬玲奈はこの言葉で両親の反応を窺っていたが、残念ながら綾瀬石賢と鈴木雲の態度は芳しくなかった。二人は淡々と言った。

「そうか。友人だというなら、食事...

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