第121章 息を呑む美しさ

東野月は車を降りると、葉山天と席を交代した。そして目隠しを取り出し、彼に手渡して装着を促す。

「これは決まりだからね。道中、絶対に外さないで。さもないと、闇に潜むスナイパーに心臓を撃ち抜かれるわよ」

ここは一見するとただの軍事基地に見えるが、実際は『天龍』の極秘訓練基地の一つだ。

『天龍』の部外者は本部に入ることが許されていない。だからこそ、東野月は葉山天をここへ連れてきたのだ。中ではすでに洛神が彼の到着を待っている。

葉山天もそのルールは熟知している。目隠しをすると、シートに身を預けて仮眠を取り始めた。

東野月が車で検問所を通過すると、銃を携えた四人の兵士が一斉に敬礼した。運転中...

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