第124章 一度の特例

洛神の人生は、常人のそれとは大きく掛け離れていた。河原で拾われた孤児であった彼女は、幼き日より国に忠誠を尽くすための英才教育を受けて育ったのだ。成長してからも、その生き様が変わることはない。上層部から下される任務がいかに過酷であろうとも、彼女は不平一つ漏らさずに即座に遂行し、どれほどの代償を払おうとも任務を完遂してみせる。

葉山天が口にした「自由」という概念を、彼女は理解できなかった。天龍に入れば不自由になるというのか? 彼女自身は、自分を自由だと認識している。天龍において彼女は、法に触れさえしなければ、望むことを何でも行えるからだ。

「自由を望むのなら、与えましょう。ただし、任務の遂行...

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