第126章 女子寮(1)

「葉山天」と「東野月」の二人は、車内で二、三秒ほど呆然としていたが、ようやく我に返った。ほんの一瞬の出来事だったが、それは「葉山天」の生死を分ける瞬間だった。「葉山天」にとって、これほど死を間近に感じたのは初めてのことだ。不快極まりない感覚。それは彼を激怒させ、長い間鎮まっていた「葉山天」の闘争心に再び火をつけた。

「撃ったのは誰だ?」

「葉山天」は冷ややかな視線を「東野月」に向け、地獄の底から響いてくるような凍てついた声で問いただした。相手が誰であろうと、「葉山天」は腹を決めていた。この一発、「葉山天」は必ず相手に倍にして返してやるつもりだ。

「東野月」は困惑した表情で「葉山天」を見...

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