第290章 熟女と酔って乱れる(1)

室内にいた人々は、速水副市長の姿を認めた途端、一様に驚愕の表情を浮かべた。実物を目にしたことがなくとも、このクラスの高官となれば連日のようにニュースで見かける存在だ。政治に無関心な者でさえ、速水勇太の顔を見間違うはずもなかった。

特筆すべきはサルと佐藤遠の二人だ。まさか副市長までもが来場するとは夢にも思わず、呆然と立ち尽くし、手も足も出ないといった様子である。対照的に、柳原文圭とその妻である浅村英は落ち着いたもので、すぐに席を立つと、慇懃に頭を下げて挨拶をした。

「速水さん、こんにちは」

葉山天に雇われた看護師の梓川葉子は、柳原文圭の少し後ろに控えていた。自分から進んで声をかけに行くよ...

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