第307章 名声が轟く(2)

その細く長い銀針を目にして、原田亜希子の表情に緊張が走る。

「葉山院長、痛いですか?」

「痛みはありませんよ。ただ、針が入る瞬間に少しピリッとした痺れを感じるだけです」

葉山天は手術台の前に立ち、原田亜希子の胸元を凝視したまま顔も上げずにそう答えた。彼はツボを探っているのだ。豊胸鍼灸の要はツボにある。それは極めて精密な操作であり、毫釐の差が千里の謬りを生む世界だ。

柳原文圭は傍らに立ち、葉山天の一挙手一投足を黙って見守っていた。不意に、葉山天が動いた。左手が原田亜希子の乳頭から二寸下の位置を二度押し、右手の銀針が電光石火の速さで突き刺さる。刺入の瞬間、原田亜希子は何も感じなかったが、...

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