第309章 特殊な患者(2)

原田亜希子が葉山天を誘ったのは、単に食事を共にするためだけではない。不妊についての相談があったのだ。

最近、彼女はある親友から、子供ができないことで夫婦関係が冷え切っていると打ち明けられたばかりだった。なんでも、離婚寸前まで追い込まれているという。

原田亜希子のその親友というのは、ただ者ではない。もし離婚となれば、両家の体面に傷がつくだけでなく、親友の父上にも多大な迷惑がかかることになるだろう。原田亜希子と彼女は幼馴染で、姉妹同然に育った仲だ。そんな彼女の窮状を目の当たりにして、亜希子も心を痛めていた。

「分かりました。ただ、夜の十時までには帰らなければなりませんが」

葉山天がそう言...

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