第371章 静かな夜

タクシーに揺られること、およそ二時間。車が山間の国道へと入り、西園寺家の実家がある村まで残り三十キロを切ると、姉妹の胸には、故郷へ近づくがゆえの畏れにも似た緊張感が込み上げてきた。

西園寺樹希は、恋人である葉山天を連れて帰るというプレッシャーで心臓が早鐘を打っている。一方、姉の西園寺理菜は数年ぶりの帰省ということもあり、やはり心穏やかではいられない。唯一、天だけが涼しい顔で車窓を流れる景色を眺めていた。そこには都会の華やかな喧騒はなく、あるのはただ、静寂と安らぎだけだった。

山々に緑の潤いはなく、枯れ葉を落とした木々の枝が、寒空の下で寒々しく突き立っている。

時計の針が六時を回り、あた...

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