第392章 人でなし

 娘から冷たく突き放され、さんざん罵られたことで、柳原美乃の頭の中で何かがぷつんと切れた。こみ上げてきた怒りのままに、振り上げた手で四宮小夏の頬をはたく。娘に手を上げたのは、これが初めてだった。幼い頃、どれだけ問題を起こそうと、柳原美乃は一度も四宮小夏を叩いたことがない。けれど、きょうだけは例外になった。

 四宮小夏は避けることもせず、その平手打ちをまともに受け止めた。白い頬に、みるみる赤い手形が浮かび上がる。四宮小夏は、なおいっそう冷え切った視線で母親を射抜き、しばし黙り込んだのち――ふっと、口元に冷笑を浮かべた。こんな局面でなお笑みを浮かべられる、その心の闇の深さは、想像に難くない。

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