第4章 女泥棒の入浴

葉山天は文書袋を開け、中身を確認した。キャッシュカードと2本の鍵が入っているだけで、他には何もない。父親が遺書を残すと思っていたが、まさかこれだけとは!

キャッシュカードを両面チェックしたが、特に目立った手掛かりはない。普通の預金カードで、署名すら空白だった。カードを丁寧にポケットにしまい込んだ。

2本の鍵は大小様々。葉山天の経験から、大きい方は玄関か部屋の鍵だろうと推測した。小さい方は何かの収納ボックスの鍵のようだが、まだ特定には至らない。

もしかして父の部屋の収納ボックスの鍵?葉山天は心の中で考えた。確かめるしかない!彼は思い出した。自分が家を出た当時、Y市北部の古い団地に...

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