第75章 婦人科検査

中村美幸は、葉山天に顔が赤くなるようなことを言われるのを恐れて早々に席を外した。オフィスには葉山天と千堂礼緒の二人だけが残される。向かい合って座り、ふと視線が交わると、そこにはどこか艶めかしい空気が流れ、千堂礼緒の顔がさっと朱に染まった。

(なんて恥ずかしがり屋な人なんだ。俺の目は透視能力なんて持ってないってのに)

葉山天は内心で苦笑した。

「千堂さん、今年の実習生はいつ頃来るんですか?」

泉川久守から実習生を二人任されている。葉山天自身、実習生だった経験はあるが、指導する側になるのは初めてで、少し興味があった。

千堂礼緒はペンの動きを止め、顔を上げて葉山天を見た。気まずい雰囲気を...

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