第89章 一緒に寝ないか(2)

葉山天が今夜の寝床をどうするか頭を悩ませている一方で、十三は葉山天の父親の件に興味を抱いていた。あるいはそれは職業病のようなものかもしれない。エージェントたるもの、精通すべきスキルは多岐にわたり、推理力もその一つだ。ましてや『天龍』の構成員ともなれば、エージェントの中のエージェントである。

十三は一見すると近所に住む可憐な妹系の少女だが、決して「胸は大きいが脳みそは空っぽ」という類いの女ではない。彼女は豊満な胸を持ち合わせているが、それに見合うだけの明晰な頭脳も持っているのだ。

葉山天が父親の死の状況を何気なく口にしただけで、彼女は即座に疑念を抱き、いくつかの不自然な点に気づいた。当時、...

ログインして続きを読む