第90章 一緒に寝ないか(3)

葉山天は、水原玲子が自分に好意を寄せていることを知っていた。だが、二人が結ばれる機会はとうに失われている。ましてや、今の水原玲子は人の妻であり、子供さえいる身だ。一緒になることなど、到底不可能だった。

一度だけでも水原玲子と肌を重ねられたことで、葉山天は十分だと感じていた。少なくとも、若き日の未練は晴らせたのだから。

「この子はもう……。あんたが葉山天と仲が良いのは知ってるけど、滅多なこと言うんじゃないわよ。誰かに聞かれたら、損するのはお母さんなんだからね!」

高橋玲子は水原玲子の額を指でつつきながら、心の中で必死に言い聞かせる。これは単に感情が表に出ているだけだ、と。

それは高橋玲...

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