第94章 姿勢を変えてもう一度

葉山天の言葉は、水原玲子の心の奥底に封印されていた記憶を揺り動かした。かつて二人が結ばれなかったことへの悔恨ゆえか、彼女は突如としてその一糸まとわぬ身を翻し、葉山天に抱きついた。そして唇を寄せ、貪るような口づけを交わす。

水原玲子の甘く滑らかな舌が葉山天の口内へ潜り込み、彼の舌と絡み合う。瞳を閉じ、我を忘れて吸い付く。これほどまでに彼女を狂わせることができるのは、葉山天だけだ。夫の前では決して見せない積極性だった。夫との情事は義務的な事務処理に過ぎず、愛のない肉欲は彼女にとって苦痛でしかなかったのだ。

「天くん、玲子さんのここ、触って……!」

呼吸困難になるほど求め合った末、ようやく唇...

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