第59話

私は忍耐強い男に見えるかもしれない。かつてはそうだったのかもしれないが、今はそうではない。この数日間、私は自分に押し付けられた制御不能な状況に対処しようと、肉体的な疲労の限界まで自分を追い込んできた。もはや自転車にさえ乗れない。クソッタレ。頭がそこにない。だから、次の発散先はジムだ。そこでは集中力は必要ない、ただ無意識で動くだけだ。注意を払っていないせいで殴られても、それもいい。傷つくのは自分だけだし、痛みがあれば何かに集中できる。

マイクが持っているヘビーバッグを叩き続けていると、私の拳が当たるたびに彼から唸り声が漏れる。普段なら彼は挑発して、私を怒らせて全力を出させようとする。だが今日は...