第5章
宏樹は机に向かったまま、虚空を見つめていた。一睡もしていないまま、すでに二日が過ぎていた。瞼を閉じるたび、脳裏に浮かぶのは由美子の空っぽになったクローゼットだ。何も置かれていない化粧台。そして、そこに積もった埃。
彼女は本当に行ってしまったのだ。
ドアをノックする音が響き、秘書が扉を開けた。
「探偵の方がお見えです、白川様」
灰色のスーツを着た男が入室し、椅子に腰を下ろした。彼は手にしたファイルを机の上に置いた。
「奥様が空港の監視カメラに映っておりました」探偵は言った。「L市へ向かわれたようです」
宏樹は弾かれたように顔を上げた。「L市だと? あんなところで何をしてい...
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