第6章
由美子は絵の具で汚れたエプロンを身に着け、そこに佇んでいた。髪は短く切り揃えられている。以前より痩せたようだが、その瞳は澄み渡っていた。
翔太の目から、どっと涙が溢れ出した。「お母さん!」
由美子は彼の方へ歩み寄ろうとはしなかった。ただそこに立ち、二人を見つめているだけだ。
「入って」
ようやく彼女が口を開いた。その声は穏やかだったが、まるで他人行儀な響きだった。
二人は中へと足を踏み入れた。アパートは狭いが、日当たりは良い。壁には何枚ものキャンバスが立てかけられ、部屋の空気は絵の具とテレピン油の匂いで満たされていた。
由美子は二人の背後でドアを閉めた。「座って」
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