第17章
宮崎直志が、いつの間にかそこに立っていた。
周りの誰にも目を向けない。視線は林原知世だけを真っ直ぐ射抜き、その双眸は深い潭の底みたいに沈み切っている。強く引き結ばれた顎のライン。近づくな、と言わんばかりの低い気圧に、野次馬たちまで息を潜めた。
林原知世が顔を上げると、胸の鼓動がふっと一拍、抜ける。
……どうして、ここに?
「どけ」
声は大きくない。それなのに、ざわつく空気を真っ二つに裂いて道を作った。
見物人が無意識に後ずさる。宮崎直志は数歩で彼女の隣へ詰め、白い顔の若い男が反応するより早く、当然のように腕を伸ばして知世の腰を抱いた。半分さらうみたいに、半分守るみたいに、彼女を自...
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