第18章
林原知世は眉をふっと持ち上げただけで、何も言わなかった。
視線の端に、開いた襟元から覗く胸板と、骨ばった指先が映る。思わずくすりと笑って、酒をひと口。
こんな大男前が隣についてくれるなら、断る理由なんてない。
バーの照明が明滅し、幼なじみが林原知世にグラスを次々と差し出してくる。
知世は気づかないまま、受け取っては飲み、受け取っては飲み……気がつけば頬がじんわり熱い。目の前の輪郭がゆらゆら揺れて、彼女は自分の頬をぺちぺちと叩いた。意識がふわり、遠のいていく。
次の瞬間、温かな手が額に触れた。
「飲みすぎた?」
宮崎直志の声が耳元に落ちる。いつもより低く、近い。
「ん……」
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