第35章

午後――林原知世は会議室でプロジェクトの報告書を突き合わせていた。そこへ秘書が血相を変えて飛び込んでくる。

「林原様、会長がお見えです!」

胸の奥がきゅっと縮んだ。知世はすぐに席を立ち、足早に廊下へ出る。ちょうど、陸原のお爺さんが車椅子に座り、秘書に押されながらフロアを横切っていくところだった。

病み上がりとは思えないほど顔色はいい。鋭い眼光が、周囲を一つひとつ切るように見回す。

壁の大型モニターには最新の業績データが流れていた。先月比で、約三割増――。

一通り視線を巡らせたあと、お爺さんの目が知世で止まる。さっきまでの鋭さが、わずかに和らいだ。

「このところ、よくやってくれたね...

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