第38章

その言葉を聞いた瞬間、宮崎直志の瞳孔がきゅっと縮んだ。

さっきまで宴会場で纏っていた、盤上を掌握する上位者の気配が一気に剥がれ落ちる。彼は思わず身を乗り出し、姿勢を低くした。声も、いつもより少し掠れている。

「知世、先に怒らないで。説明させてくれ」

「二年前、宮崎家で内紛が起きた。俺はあいつらの罠に嵌められて……重傷を負った」

眉間を押さえるように指を当て、喉の奥を擦るような声で続ける。

「状況が切迫してた。俺の居場所が漏れたら、手元の勢力は根こそぎ潰される。それどころか、生きて帰れない可能性もあった。だから――完全に消える必要があったんだ。あいつらを油断させるために」

視線を上...

ログインして続きを読む