第43章

林原知世の視線が、床に散らばる破片へと落ちた。声音は淡々としている。

「納得できない? だったら簡単よ」

彼女は顔を上げ、陸原凛を見た。感情の起伏はない。けれど、その態度には揺るぎのなさがあった。

「今すぐ法務に連絡して、専門家を呼んで鑑定させてもいい。でも、陸原様はお忘れかしら。去年のオークションで、同じ意匠の小品が二千三百万で落ちたの。これは腰の高さはある。五千万は安くこそあれ、高くはないわ」

言い切って、林原知世はふっと笑う。

艶やかな顔立ちが、いまはどこか冷えた静けさを纏っていた。

「損だと思うなら、鑑定を入れればいい。鑑定料は私が持つ。もし低く出たら、足りない分は私が埋...

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