第44章

ほどなくして、林原知世はさっきまでの思考からふっと抜け出した。

頭をぶんぶんと振り、車窓に映る自分の髪を手早く整える。ガラス越しに覗いた顔は、まだはっきりと艶やかで――だからこそ、無理やり口角を持ち上げた。

こんなことを考えたって仕方ない。前を見る。それがいちばん真っ当だ。

この馬鹿げた関係のもつれも、いい加減、断ち切るべきだ。

自分には陸原を回す仕事がある。陸原凛という厄介事も片付けなきゃならない。訳の分からない感情に沈んでいる暇なんてない。

車に腰を下ろし、エンジンをかける。ぶるん、と低い唸りが車内に満ち、胸の奥の薄暗さが少しだけ散っていった。

マンションの下に着き、車を停め...

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