第52章

彼は頭を深く垂れ、視線を自分の革靴のつま先に縫いつけたまま、顔を上げる勇気すらなかった。

宮崎直志はそこでようやく、ゆっくりと視線を上げる。落ちた目は、まっすぐ彼を射抜いた。

温度のない眼差しに、支配人は膝がふわりと崩れそうになり、その場でひざまずきかける。

「どけ」

宮崎直志の声は低い。だが、拒む余地のない命令だけが、はっきりとそこにあった。

「は、はいっ! すぐに!」

支配人は反射的に返事をし、くるりと身を翻して陸原凛の腕にすがりつく。

「陸原様! こちらへどうぞ! 裏でお茶をご用意しておりますので、私がご案内します。出来たてを……!」

汗だくで必死だった。陸原凛の口をふ...

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