第55章

林原知世は最初こそ体がこわばっていたが、宮崎直志に導かれて二周ほど回るうちに、少しずつ感覚を掴んできた。

はじめは恐る恐る力を抜き、馬に任せて一歩ずつ前へ進ませる程度。

ところが、じわりと速度が上がると、馬場特有の青い草の匂いがふわっと鼻先をくすぐった。さっきののんびりした常歩より、ぐっと面白みが増す。

林原知世は思わず唇を結び、くすりと笑う。目尻も眉も、楽しさに染まっていた。

「度胸ついてきたか?」

斜め後ろから、笑いを含んだ宮崎直志の声。

林原知世はちらりと振り返り、顎をすっと上げる。

「当然でしょ。本小姐、飲み込み早いんだから」

そう言って大きく息を吸い、宮崎直志に教わ...

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