第60章

林原知世は、叩き潰されて原形を失った車をじっと見つめた。瞳の奥で、刺すような殺気がどろりと渦を巻く。

たった三十分前まで、小原寧音と口論していたばかりだ。なのに車は、いまやこの有様。

考えるまでもない。やったのは誰か、答えは一つしかなかった。

そう思いながら、林原知世は横でへこへこと頭を下げ続ける管理会社の責任者を一瞥する。

相手は額に汗を浮かべ、口では何度も謝っているのに、目が泳いでいた。どう見ても後ろ暗い。

――やっぱりね。

小原寧音はさっき、ショッピングモールで頭に血が上ったのだろう。その場で電話して、誰かに「痛い目を見せろ」と命じたに違いない。

監視カメラに関しても、お...

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