第58章 母のために割に合わないと感じる

リストに挙げられた品々は、たしかにどれも相当な価値がある。しかも――いくつかは、間違いなくこの家の手に渡っている。

「でたらめ言わないで!」

春子が真っ先に跳ね起き、一覧をひったくるや否や、目も通さずにぐしゃりと丸めた。

「なにが遺品よ。うちの小西家が、あんたのお母さんの物なんて取ったことあるわけないでしょ! 勝手なこと言わないで。仮にあったとしても、それはあんたのお義母さん――そう、私の妹の琴子がうちにくれたのよ。姉妹なんだから、ちょっと贈り物くらいするでしょ? それを大げさに乗り込んで来て『返せ』だなんて、よく言えるわね!」

小西健も気を落ち着かせるように息を整え、顔をつくって言...

ログインして続きを読む