第61章 あなたを恐れることなんて、一生ない

石橋結翔が背を向けた、その瞬間。

真理の心臓は、見えない手にぎゅっと握り潰されたみたいに締めつけられ、息が詰まった。

彼の周囲に漂う沈黙の冷たさは、どんな怒りよりも彼女を不安にさせる。

ほとんど反射だった。

真理はソファから跳ね起き、数歩で追いつく。石橋結翔が書斎の扉を出ようとした刹那、背後から彼の細い腰に腕を回し、ぎゅっと抱きしめた。

力いっぱい。頬を彼のまっすぐな背に押し当てる。薄いシャツ越しに伝わってくるのは、身体が一瞬で強張る気配と、筋肉の奥に走る、張り詰めた震え。

「結翔、行かないで!」

焦りを隠せない声。そこに、かすかな嗚咽が混じった。

「違うの、あなたが思ってる...

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