第72章 媚薬を盛られる

言葉が後ろへ進むほど、声の速度は落ちていき、小西由希の頬に不気味な紅がじわりと差した。

「姉ちゃん……暑い。エアコン、つけられない?」

苦しそうに襟元を引っぱる。自分の身体に何が起きているのか分からない。ただ、言いようのない不快感が全身にまとわりついて、どこがどう辛いのかさえ説明できなかった。

「もう温度はかなり下げてるよ。そんなに暑い? じゃあ、あっちのベッドで少し寝たら? 寝れば落ち着くかもしれないし」

小西由希はふらふらと頭を振り、それでも素直に真理の言う通りベッドへ向かうと、そのまま前のめりに倒れ込んだ。

倒れた小西由希を見下ろし、真理の瞳がきらりと揺れる。次いで、黒のマー...

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