第75章 新学期が始まる

真理が入ってきたのを見た瞬間、菅野文彦の顔色がさっと変わった。

「真理、やっと来たか。ほら、こっちに座りなさい」

にこにこと、いかにも慈しむような笑顔。

――白々しい。

打算で近づいているだけだ。菅野文彦は最初から最後まで、真理に父親らしい情など向けたことがない。あるのは利用価値だけ。

用もないのに愛想を振りまくのは、裏がある証拠。

真理は急がない。脇のソファに腰を下ろし、脚を組む。余裕たっぷりに菅野文彦を見据え、次の言葉を待った。

菅野文彦は腹を立てる様子もなく、相変わらず温厚そうな笑みを貼りつけたまま言う。

「真理、ずいぶん家に帰ってなかったな。今夜は……うちで夕飯でもど...

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