第19章

早村謙介が記者会見の会場に駆けつけた時には、すでに現場は騒然としていた。

記者たちが鈴木青美と村田黒人を中心に取り囲み、カメラもマイクも、ほとんど顔に突き刺さりそうな勢いで押し寄せている。

鈴木青美の顔色は冴えない。体調が良くないのは一目でわかった。

それでも背筋はまっすぐ。視線は氷を溶かして鋳直したみたいに冷たく、意地の悪い質問にも怯むことなく、むしろ淡々と捌いていく。

――昔、彼女が彼の代わりに会社の案件を回し、横暴な取引先を相手にしていた時と同じだ。余裕すら感じるほどの手際。

風雨の中を一緒に歩いてきた妻だ。こんな程度の場面、こなせないはずがない。

けれど今日のその冷静さが...

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