第26章

「ダメ……っ!」

鈴木青美は何があっても、警官たちに村田黒人を連れて行かせようとしなかった。

「この人は無実よ! 陥れられるなんて、絶対にさせない!」

早村謙介の顔色がみるみる暗くなる。鈴木青美が村田黒人を背にかばい、警官たちまで動けずにいるのを見て、胸の奥に苛立ちがふつふつと湧き上がった。

早村謙介は横を向き、ボディガードを呼んで彼女を力づくで引き剥がさせようとする。

――だが、その瞬間。

鈴木青美のスマホが鳴った。

家で祖母の世話をしている村木からだ。

震える指で通話を取ると、受話口の向こうから切羽詰まった声が飛び込んでくる。

「鈴木さん、大変です! お婆さんが倒れまし...

ログインして続きを読む