第28章

彼が相変わらず無表情でなければ、鈴木青美は――本当に自分を案じているのだと信じてしまったかもしれない。

「おばあさまには、これ以上刺激を与えられない」

早村謙介が、追い打ちのようにそう付け足す。その一言が最後の一本となって、青美の胸に積み上げてきた高い壁を、音もなく崩した。

彼女は絶望のまま目を閉じ、深く息を吸う。もう一度目を開けたとき、瞳の奥はすっかり死んでいた。

「……わかった。戻る。でも、あなたが前に約束したことは? まだ有効?」

「当然だ」

青美が折れたのを見て、早村謙介がはっきりと安堵の息を吐くのがわかった。

「契約書は弁護士に作り直させる。今夜中に届けさせる」

鈴...

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