第36章

「うっかりぶつけただけで、こんな傷になるか?」

祖父は鈴木青美の額の裂けた傷を見つめ、まるで信じていない顔をした。

さらに早村謙介へ視線を移す。明らかに『やらかした』と書いてあるような狼狽ぶりに、怒りで全身が小刻みに震えだす。

「青美、お前はあいつを庇わなくていい! 俺は聞いたぞ! このクソ野郎が、あの養女のためにお前にこんな真似をしたんだ! 今日はぶち殺してやる!」

伊藤夕子も駆けつけてきた。鈴木青美が血まみれなのを見て、さすがにぎょっとする。

だが殴ろうとしているのは実の息子だ。止めたい一心で、慌てて祖父の腕にすがりついた。

「お父さん、落ち着いてください。謙介がわざとなんて...

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