第42章

「……もういい」

鈴木青美は大きく息を吸い込んだ。

「私のことは放っておいて。——さよなら」

そう言い切って、通話を切る。

「青美……?」林原稲美が心配そうに近寄ってきた。「どうしたの? 早村謙介、何て?」

「……お婆さんが今日退院するって、知ってた」鈴木青美の声が、少しだけ強張る。「迎えに行くって」

林原稲美の顔色も変わった。

「なんで知ってるの? まさか人をつけて——」

「わからない」鈴木青美は首を振り、バッグを手に取った。「でも、すぐ病院に行かなきゃ。稲美、こっちは頼む」

「私も行く!」林原稲美が焦って言う。

「いい」

鈴木青美はきっぱりと首を振った。

早村謙介...

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