第47章

医師は、早村謙介の瞳に宿る氷のような冷えを正面から受け止め、結局は折れるしかなかった。

「……わかりました。すぐに手術同意書をお持ちします」

踵を返した背中は、どこか足取りがふらついていた。

数分後。医師は書類を抱えて戻ってくる。その後ろには、緊張で顔を強張らせた看護師たちが数人ついていた。

「早村さん、こちらが手術同意書です」

差し出された紙を前に、医師は躊躇うように言葉を続ける。

「本当に……よろしいのですか。奥さまが目を覚ましたあと、きっと――」

「俺がサインする。責任は俺が取る」

早村謙介はペンを受け取ると、内容には目も通さず、最後のページまで一気にめくった。そして迷...

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