第60章

鈴木青美はここ数日、熱が上がったり下がったりを繰り返し、頭の芯がぼんやりしたまま、身体に力が入らなかった。

心はお婆さんのことばかり気にかかるのに、肝心の体が言うことを聞かない。起き上がるだけでも精一杯で、病室の外の様子は電話越しに村木から聞くしかなかった。

村木はいつも、決まって彼女を安心させる。

「お婆さんは落ち着いてる。だから青美さんは治すことだけ考えな」

――けれど、ある日の午後。とうとう隠しきれなくなった。

電話をかけてきたのは、お婆さんの主治医本人だった。

「鈴木さん……お婆さまの状態が、急に悪化しました。すぐ病院へ来てください!」

青美は考えるより先に体を動かして...

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