第70章

「……礼子のほうも、分かってるだろ……」早村謙介は目に見えて気後れしていた。

「それに、医者を手配してないわけじゃない。別の医者を向かわせた。もうとっくに着いてるはずだ」

葉山惠也はようやく息を吐き、恨めしそうに指を突きつける。

「お前なあ……好きにすればいいさ。いつか必ず後悔するぞ」

吐き捨てると、葉山惠也はエレベーターへ駆け出した。

自分の目で確かめなければならない。

電話で聞いた話では、鈴木青美の祖母の手術はリスクが高い。早村謙介が代わりに呼んだ医師も、どうせ厳選した人材なのだろう。そう簡単に外れを引くはずがない。

それでも、手術中の不測の事態は数え切れない。しかも高齢者...

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