第6章

 私は頭上から、高沢美紀を見下ろしていた。かつてギャングの抗争を前にしても瞬き一つしなかった鉄の意志を持つ刑事。その女が今、ステンレス製の解剖台の縁を、死に物狂いで掴んでいる。

 爪が金属を引っ掻き、不快な音を立てる。それはまるで、彼女の魂が引き裂かれる音のようだった。

 相棒の鈴木は、誰かに思いきり殴りつけられたような顔をしている。

 震える手には、タブレット端末が握りしめられていた。

「高沢」彼の声はしゃがれていた。

「鑑識がたった今、監視カメラの映像を復元した。向かいのATMのカメラだ。路地の入り口が映ってる」

 高沢は顔を上げない。

 額を冷たい金属台に押し付けたまま、...

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