第5章

雪乃視点

 冷蔵室の凍りつくような、腐臭の漂う空気の中を、私の魂は彷徨っていた。

 錆びついた鉄格子の向こうを見つめる。

 みんないた。凌也。父さん。母さん。

 そして、結衣。

 一週間が経っていた。結衣は病気など微塵も感じさせない。それどころか、まばゆいばかりの生気に満ち溢れていた。

 彼女の指には、巨大で傷一つないピンクダイヤモンドが光り、薄汚れた廊下の薄暗い光を反射している。

 凌也が彼女に買い与えたものだ。彼女の不安を和らげるための、豪奢な「快気祝い」だった。

「あの医者、耳が遠いの?」母が不満げにこぼし、重厚なクリニックのドアを苛立たしげに叩いた。

「何百万も払っ...

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