第6章

雪乃視点

 凌也は汚れたコンクリートの床に四つん這いになったまま、凍りついていた。息もできない様子だった。

 震える指先が、凍てつく空気を彷徨う。私の遺体を覆う、血に染まったキャンバス地の防水シートに触れる勇気すらないのだ。

 廊下から、重く切迫した足音が響いてきた。主任監察医が警視庁の捜査員たちを従え、極寒の遺体安置室へと真っ直ぐに足を踏み入れた。

 監察医は、むせ返るような強烈な腐臭に鼻をつまんだ。だが、躊躇いはなかった。腐敗したシートの端を掴むと、勢いよくそれを剥ぎ取った。

 明滅する蛍光灯の下に、あまりにもむごたらしい真実が曝け出された。

 私の破壊され、やせ細った顔が冷...

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