第5章

 ヴィクターは乱暴に人垣を掻き分けた。ひび割れた汚泥の中に、原型を留めないほどに拷問された女の死体が転がっていた。

 衣服はズタズタに引き裂かれている。最もおぞましいのはその顔だ――両目のあった場所は、悪臭を放つ黒い液体が絶え間なく滲み出す、二つの血の穴と化していた。

 ヴィクターの視線が機械的に下へと移動し、手筋を断ち切られた青白い腕に釘付けになる。

 めくれ上がった皮肉の内側に、黒く腐りかけたアイリスの花の切り傷がくっきりと残されていた。

 それは彼がゴッドファーザーの座を奪い取ったあの日の深夜、自らの手で私の肌に刻み込んだ忠誠の証。

 ニューヨークの裏社会を牛耳る暴君は、力が...

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