第7章

隆志視点

俺はもう何度目かわからないほど腕時計を確認しながら、大宴会場の入り口近くに立っていた。

「隆志」父が心配そうな顔で近づいてきた。「美咲はどうしたんだ? 皆がどうしたのかと聞き始めているぞ」

「少し遅れているだけだろう」俺は答えた。

その時だった。剛志が人混みをかき分け、こちらへ駆け寄ってくるのが見えた。いつもは冷静なその顔が紅潮し、空調が効いているにもかかわらず額には汗が玉のように浮かんでいる。

「社長」彼は息を切らしながら俺の元へたどり着いた。「言われた通り、桜井家へ行ってきました」

「それで? 美咲はこっちへ向かっているのか?」

剛志の顔が青ざめた...

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